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VFX-JAPAN発足に向けて

はじめに、


 日本の映像制作技術には、伝統的な特撮という文化があり、その中でもいわゆる視覚効果という技術がコンピュータの導入と共に進化を遂げ、特殊なジャンルとしてVisual Effects(ビジュアルエフェクト:略してVFX)と呼ばれるようになりました。今日のハリウッドの大作映画に於ける目をみはるVFXが、大ヒット作の魅力を影で支えていることは周知の通りであり、TV,CM、ゲーム、PVなどの映像表現に於きましても、コンピュータ技術の目覚しい発達により、VFXは欠かせない映像要素となってまいりました。こうした背景には、多くのクリエーター、プログラマー、プロデューサー、ソフト及びハードウェアベンダーなどが関わるこの業界の弛まぬ努力と発展の歴史があったと言えます。

 米国におきましてはVES(Visual Effects Society)と呼ばれる協会が組織され、ハリウッドの一流VFXスーパーバイザーを始め、この業界に従事する国内外も含めた約2000名を超えるメンバーが在籍しています。
http://www.visualeffectssociety.com/ (米国ビジュアルエフェクトソサエティのHP)

 しかしながら日本には、撮影、照明、脚本などと同じく映画に欠かせない技術に匹敵するパートでありながら、こうした職種を営む技術者や関係者に特化した団体はありませんでした。
 私は、2007に渡米し2009年に米国VESの会員となり、その活動に参加する機会を得ました。その後、ある方から米国VESの日本支部のようなものを作ってはどうかというお話をいただき、それ以来、日本でこの業界の関係者の方々にいろいろとご意見を伺うようになりました。私自身この業界に20年以上関わっておりますが、日本にそのような団体が無いということに今更ながらに気づかされただけでなく、特に感じましたのは、今日の日本の業界が様々な問題を抱えているということでした。こうしたことを聞き知るにつれ、そのような問題を一つ一つ解決していくには、この業界に関わる方々の横のつながりや連帯感を強め、業界活性化に向かうための様々な問題点を論じ合える場を作ることが必要であり、そのための組織として、VFX-JAPANの発足が急務であると考えるに至ったのです。

なぜ今、必要なのか?


 世界的な構造不況の中で、映画、TV、CM、ゲーム映像に関連したエンターテイメント産業も大きな打撃を受けています。しかしながら、そうした状況に於きましてもコンテンツ産業、中でもデジタルコンテンツ産業に関しては我が国における未来を支える成長産業として特にその動向に関心が集まっています。とはいえ、注目はされながらも、具体的な発展を促す方策、支援に関しては、いまだ模索中であるといえるのではないでしょうか。現在、国内商業映像の制作費の下落は歯止めを知らず、その為には海外からの外貨の獲得に活路を見出したいところです。ところが、そうした際の大きな問題として、イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドなどが行っているような税制優遇措置や助成金制度が日本には無いことが上げられます。そのような措置によりハリウッドからの仕事は事実上どんどん諸外国に流れているという状況があります。

 デジタルコンテンツを生産する技術的なノウハウや基盤技術の多くは、VFX技術者によってもたらされています、しかし実際のCG映像等を見た一般の人々には、その影に隠された人間の功績や努力というものまでは中々伝わりません。そういった映像は特に人間の努力がいらず、まるで機械や道具が勝手に作ったかのような印象を持たれている傾向にもあります。特に優秀なVFX職人になればなるほど、そこに人間の存在を感じさせないような自然な映像を作ります。それはまさに職人芸であり、彼らの存在はそれ故に縁の下の力持ちとなっております。こうした中で、日本国内の優秀な人材が海外にどんどん流出していることなども鑑みますと、魅力的で活気のある業界作りと、そうした人々への賞賛が今こそ必要だと思われます。昨今の経済恐慌とも相成って、この業界の存続も大変厳しい状況となってまいりました。その中でも一番の心配は、この業界に夢を抱いてやってくる若者が先細りしてしまうのではないかということです。若者が入ってこない業界に未来はありません。そういった意味でも、業界全体の活性化を図り、未来ある若者達に向けてこの仕事の魅力や、優秀な才能の存在を世に知らしめることも大事なのではないでしょうか。

 VFX-JAPANを作ることにより、こうした業界に携わる人々の、功績を称えるイベントを行うなどして、人々の意識や関心を高め、業界全体を盛り上げ、この業界に参入したいと思っている若者達に希望や憧れを抱かせるような業界作りを目指すための後押しをすることができれば、引いては我が国におけるコンテンツ産業の育成、発展にも繋がるのではないでしょうか。

 

具体的な活動内容と目標についての草案


 以下は、あくまでも草案であり、実務的にどこまで可能かわかりませんが、このようなことを具体的な活動目標にしてはどうかというご提案です。

1、VFX-JAPAN ウェブサイトの立ち上げ。

  1. VFX-JAPAN ウェブサイトの立ち上げ。
  2. VFX-JAPANはWeb上のソーシャルネットワークコミュニティーを活用します。
  3. 立ち上げ時には運営上の管理経費が極力かからないやり方を模索します。
  4. 会員募集用の窓口としてFacebookページでのアンケートの実施を行います。
  5. 日本におけるVFXの歴史など、執筆連載記事の充実を図ります。 (予定)
  6. VFXアワードの投票サイトを設けます。
  7. 会員同士がディスカッション可能なフォーラムを設けます。

2、エクスクルーシブな会員の選定と認定。

  1. 実際に第一線で活躍している方々や業界関係者、学校関係者などを人選し、勧誘します。場合によっては、直接お会いして、ご協力をお願いします。
  2. 米国VESの入会資格にならい、経歴5年以上、推薦者制度、作品歴の提出など、その他の方々の入会資格を規定します。

3、VFX JAPANサミットの開催

  1. 第一線でご活躍されているVFXスーパーバイザーや、監督、プロデューサー、業界関係者を招き、我が国のVFXに関するディスカッションを行います。
  2. このイベントを大々的に業界に宣伝、会員入会、発足告知のきっかけを作ります。

4、VFX-Jアワード開催 

  1. Webで投票、表彰式を行います。日本アカデミー賞などとの連動も検討します。
  2. 分野ごとの細かなカテゴリーも規定します。(特殊メイク、ミニチュアワークなど広くSFX技術を含んでもよいかと思います。)

5、日本のプロダクションのハリウッドプレゼンテーション

  VESのイベントで特に印象的だったのが、フランスの一流VFX会社が大挙してやってきたハリウッドへプレゼンテーションでした。このようなことをいつの日か日本からも行いたいと強く思いました。

  1. VES、PGAなどとの共同主催、協力JETROなど。
  2. 国内の企業、国からの協賛金を募ります。

6、人材育成、雇用機会の創出、業界の活性化は、VFX-JAPANの掲げる目標です。

  1. DCAJ、CG-ARTS協会などとの連携。
  2. VFX-JAPANセミナーの開催。
  3. Jobフェアーの開催。

7、技術情報の共有と蓄積、メイキング、ノーハウのアーカイブなど

  1. アワードノミネーション用のVFXメイキング素材などの管理と収集をWebサイト上で行います。
  2. VES、ACMシーグラフ、シーグラフ東京、日本映画テレビ技術協会などとの連携。
  3. その年の技術トピックなどに関して、発表の場を設けます。

8、VFXデモリールの流布。

  プロダクションが担当したカットやメーキング映像を営業用に使用する際に、中々許可が下りないという状況が多々あるというお話を伺いました。米国では、「その映像を販売するのではなく、プロダクションの営業目的用に使用する際には、権利者の名前を明記した上で、プロダクションが制作に関わったその一部の映像使用、並びにメーキングの公開を許可する」というようなことが認められており、それによって、プロダクションのデモリールなどでの映像使用が許可されています。ところが、日本では大手のタレント事務所さんとの力関係(これも製作会社との契約内容によるのですが)などにより、タレントさんの写りこんでいる映像や有名なキャラクターなどの素材をメーキングビデオなどに収録できず、デモリールの閲覧は社内のみといった形で、外部への営業ツールの作成に苦慮しているプロダクションが多いようです。特に、海外での営業の際にWeb上でデモリールやメーキング映像が使用できないというのは厳しいと言わざるをえません。
  この状況を少しでも改善するには、日本でも、制作担当したプロダクションの営業目的での著作権物の使用に関するガイドラインを業界標準で作るべきではないかと考えております。それにはまず、業務を委託した際の契約書の中で一文を明記するということで、版権元様との合意が図れるのであれば、そのような取り決めを盛り込んでおくやり方がよいのではないでしょうか。
 こうしたことは中々、弱小のプロダクションや個人が小さな声で言いましても、いままでに慣習のない事を覆すのは中々困難ではないかという意見もいただいております。そこで、様々なプロダクションの総意であるといった形で、協会からの取り決めのような書式を作ることによって、両者納得の行く形で合意が求められることを期待しています。

  1. 各会社、個人クリエーターなども含め、宣伝活動用に配る、デモリールの取りまとめをVFX-JAPANが行います。
  2. その為の権利クリアに関しても業界慣習(スタンダード)とすべく、法的な見地からもサポートを行います。
  3. 海外への宣伝目的用に、各国日本大使館などへ配布します。

9、海外からのVFXアウトソーシングに対してTAXインセンティブを持たせる、税制改革への働きかけ。

  これは中々大それた提言ですが、そもそもVFX-JAPANを発足させようと考えた一つのきっかけであり、その目標は、こうしたことを解決する為の手段であると思っています。イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドなど、諸外国での国の援助が、特にハリウッドからの受注仕事の増加につながっていると聞いております。まずは、どのような援助が実際に行われているかも含めて、現状の実態を把握するところからスタートする必要があると思います。

  1. VFXの受注のみならず、映画の撮影現場誘致、ローカルフィルムコミッションなどと連動して行う必要があります。
  2. 地方での税制特区などの設立に絡めることも想定。
  3. JFC、VIPO、ユニジャパンなどとの連携。
  4. 総務省、経産省、文科省などとの連携。

10、文芸美術国民健康保険などへの加入資格認定制度の検討。

  1. フリーランスのクリエーターなどへ、有利な保険制度への斡旋制度などを導入。

11、米国VES(Visual Effects Society)入会資格取得の為の援助。

  1. 米国VESの審査制度をパスする為のサポートを行います。VESから認定を受けた会員から推薦上をもらえるような形になります。一人の会員が推薦できる人数は毎年2人まで、会員になるには2人の推薦者が必要ですので、推薦可能人数には限りがあります。

12、VFX映画などの試写会の主催

  1. 各映画会社と連携し、会員向けの試写会のセッティング、告知などを行います。

13、映画鑑賞優待割引制度などの導入

  1. 各映画会社、興行者と連携し、会員向けの優待割引制度の導入などを検討します。

14、運営委員会の制定

  1. イベントや今後の活動を支援する為のVFX-JAPAN運営委員会を結成します。

 

おわりに、

 もちろん、このような大それた事を私自身だけの力で出来ることではとうていありません。それには、この業界に関わる皆様のご賛同とご尽力がまず必要です。

 

VFX-JAPAN発起人

秋山貴彦

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